声もなくほたるの闇が恋をする
空は曇っていて、なんとなく蒸し暑く、周りの人たちは、こんな日はでるよ、などと話しています。もう、7時を過ぎているのに、なかなか暗くなりません。街の明かりなのでしょう、空がぼ〜っと光っていて、完全に暗くはならないようです。
蛍を観察する場所は、高台になっていて、正面に低い山があり、その手前、谷のようになっているところに、草原と田んぼがあります。
田んぼの方に下りていくこともできるのですが、前日、子供たちや見物の人たちが蛍を捕まえてしまうので、下には降りられないようにしたということでした。
▲左:蛍の谷へ行く山道。地元の小学生が作った、キノコ型のカンテラが道を照らしている。これが帰りによく効いて、これがなかったら暗くてまったく歩けなかったと思う。
右:蛍が飛んだ谷で、7時ころに撮影したもの。右上の山の木から湧き出してきて、写真には少しだけしか写っていない右手の田んぼの上に飛んだ。手前は、アジサイの花のあたりから右手の方に多く飛んだ。中央の草原が掘り返されているのは、イノシシがミミズを掘った痕だということ。
盛んに鳴いていた蛙の声も聞こえなくなった7時30分頃、 山の方で光ったようでした。私は目が悪いので、遠くの方はよく見えません。
そのうちに、山の方からだんだん田んぼの上に移動してくるような感じで、私にも見え始め、いつの間にか目の前にも飛んでくるようになりました。
5分もたたないうちに、数百匹の蛍が飛んできたのではないでしょうか。
光る様子を観察していると、まず、山の方に大きな集団があり、田んぼの上にも二、三百匹の集団があるようです。さらに、手前の木や草むらにも、百匹前後の蛍がいるようです。
不思議なことに、山の蛍が一斉に光ると、それに呼応するように田んぼの蛍が一斉に光り、さらに、手前の蛍が光ります。まるで波が寄せてくるような感じです。
写真に撮ろうと思ったのですが、絞りもシャッタースピードもまったくわかりません。もちろん、ピントなど合わせられません。
しょうがないので、絞りを8にして、シャッタースピードは5秒、14ミリの最大のワイドにして撮ってみました。
三脚ではなく、一脚だったので、一脚に体重をかけてしっかりと押さえ、5秒間じっと我慢です。それでもぶれぶれ、結果はご覧のとおりです。
場所が広く、また、遠くから俯瞰で見たせいか、あまりすごいとは感じませんでしたが、まあこんなものなのでしょう。今まで見た蛍の中では、一番数が多かったのではないかと思います。
ちなみに、前々日の前夜祭のときは、それこそ、うねるように飛んだそうですが、前夜は、この日よりも少なかったということでした。
数が出るか出ないかは、気温、湿度、風などが微妙に関係してくるようです。