夏雲

夏雲 

夏の雲記憶の底を浚いだす

先日、8月ももう終わるというのに、ベランダから見える空に、大きな入道雲がかかりました。
入道雲の上の空は、もう秋の気配、空気が澄んでいるせいか、雲が白くくっきりと鮮やかです。
こんな大きな入道雲は、東京に出てきて50年ほどになりますが、初めてではないでしょうか。
子供のころはいつも、月山の上にかかる大きな入道雲を見ていました。
青い空は未来を予感させますが、入道雲は、過去を思い出させるようです。
どこかで見たことがあるような顔が無数に見えたり、崩れて顔から犬の姿になったり、刻々と変わる雲の表情が、過去の記憶を呼び起こすのかもしれません。
この写真でも、大小さまざまな人の顔や動物の姿を想像することができますが、非常に驚いたのは、左上の雲の最先端の少し左にちょっと突き出している雲が、母親の姿に似ていることです。
ちょっと背中を丸め、うつむき加減に横を向いています。
思い込んでしまうと、そうとしか見えなくなるのが不思議です。



残暑

残暑

西銀座魚の泳ぐ残暑かな

西銀座のソニービルの前に大きな水槽が置いてあり、名前の知らない熱帯魚が沢山泳いでいました。 
水槽の裏に回ってみると、水槽から透けて数寄屋橋交差点が見えます。まるで熱帯魚が数寄屋橋交差点の中を泳いでいるようです。
この魚は、何と言う名前の魚でしょうか。ふぐの様な形で、マンボウの様な可愛い口をしています。



噴水

噴水

 噴水の飛沫となりて当てもなし

日比谷公園の中心にある噴水です。
噴水の周りの木陰のベンチには、平日の昼だというのに、サラリーマンやOLやお年寄りや若いカップルや何をやっているのかわからない人たちが、たくさん坐ったり寝転んだりしています。
昔は、こういう人たちがどういう人なのかよくわかりませんでしたが、今は、自分も仲間入りです。



空蝉

蝉のから 

饗宴の一夜明ければ蝉のから

昨日、野暮用があって久しぶりに都心に出かけました。
午前中に用は終わったので、帰りに、真昼間の暑い中、日比谷公園から銀座を回って帰ってきました。
この写真は、日比谷公園の烏帽子石という石にしがみついていた蝉の抜け殻です。
烏帽子石というのは、昔、江戸城の石垣に使われていた大きな石で、烏帽子の形に似ていることから、烏帽子石として親しまれてきた石だと言うことです。
その石の上の方、烏帽子の先の辺に、蝉の抜け殻が二つ上下に並んで付いて、岩登りをしている登山者のようにも見え、面白かったので、シャッターを切ってしまいました。
最初に見たときは、登山のように感じたのですが、写真を見ると、実際の石のスケール感などが出ていないため、登山者のようには見えません。むしろ、生命力とか生命の神秘を感じます。

一匹が一匹を追いかけるようにして、二匹の抜け殻が並んでいるところなど、ドラマを感じませんか?



蝉しぐれ

蝉しぐれ

蝉しぐれ言葉つたなく黙祷す

先日、墓参りに行った日の朝、蝉の羽根を運んでいる蟻を見つけました。蟻を追いかけて行く時間がなかったので、とりあえず写真を撮っておいたのですが、今朝、ゴミを出しに行った帰りに、またまた、蝉の羽根を運んでいる蟻を見つけました。

ひらひらと揺れながらゆっくり移動していく羽根を見ていたら、昔、教科書に載っていた、三好達治の詩



蟻が
蝶の羽をひいて行く
ああ
ヨットのようだ



を思い出しました。
この詩は、純粋な感動を詩に表現していて、とても好きだったので覚えているのですが、
蝉の羽根では、この詩のような感動は湧きません。むしろ、どこか哀れな感じさえします。

この蟻を追いかけてみると、近くの植え込みの陰に蟻の穴があり、その周りを数匹の蟻がうろうろしていて、穴の横には、同じ形の蝉の羽根が三枚ほどきれいに並べて置いてありました。
何か嫌なものを見た感じです。

今年の夏は、蝉が異常に発生しているような気がしてなりません。
今も、すでに夜中の11時近くになっていますが、私の部屋の外では、無数の蝉が激しく鳴いています。
窓にぶつかったり、網戸にとまって突然大きな声で鳴き出したりしています。

もうすぐお盆、8月はあまりいい思い出がありません。
蝉の抜け殻を数個拾ってきて、本棚に並べて見たら、なんだか黙祷したい気分になってしまいました。
 




ヤマモモの実

落ちたヤマモモの実

 山桃を踏みて行く道なゐの道

いつもの公園の比較的日陰の多い、自転車道路を歩いていると、梅の実ほどの大きさの赤い実が、道路いっぱいにこぼれています。上を見上げると、ヤマモモの実がちょうど熟して鈴なりになっていました。
この自転車道路は、3.11の地震で大きな被害を受けたところで、数百メートルにわたって、未だに道路がひどいところは20〜30度も傾き、街灯も同様に傾いています。
この道沿いには、ヤマモモが多いようで、道のあちこちに実が落ちていました。

無駄に実って無駄に落ち踏まれる、それはしょうがないとしても、この傾いた道に散らばっている様子は、どことなく哀れです。

ヤマモモの木  ヤマモモの実
▲おいしそうなヤマモモの実ですが、生のままでは甘酸っぱく、それほどおいしいものではないようです。山桃酒にするようです。



猛暑のカタツムリ

カタツムリ

でで虫の逃げ足遅き昼下がり

今日は朝から落ち着かなかったので、この暑い中を 散歩に行ってきました。
野の花を撮ろうとしゃがみこんで、立ち上がると目がくらみ、しばらくじっと回復を待たなければならないような暑さです。
この写真は、立ちくらみでつかまった木の、ちょうど目の高さにいた小さなカタツムリです。
生きているのか死んでいるのか。殻には陽射しが直接真上からあたっています。
その木をよく見ると、日陰になっている木の裏側には、同じような大きさのカタツムリが数匹います。
このカタツムリも、強烈な陽射しを避けて、木の裏側に逃げ込もうとしているのでしょうか。
それにしてもドジですね。



暑い夜

暑き夜

ひとの行く方へ行くなり暑き夜 

弱い者は群れる、弱いくせに群れることもできないものはどうするか。人に逆らわず、ついていくしかありません。
こんな暑い夜は、頭もだれて後ろ向き、俳句でもとはじめてみたのですが、俳句さえ後ろ向きです。
頭の切り替えができないので、逆にどっぷりつかってみました。
この写真と句は、二年前の夏に作ったものの焼き直しです。その時の句は

ひとの向く方へ向くなりわれもまた

でした。その時は別に落ち込んでいるわけではなく、面白半分に作ったのです。
どうして今日はおもしろがれないのか。
どうして「向く」が行く」になったのか。不安いっぱいです。



梅雨の晴れ間

 野の花時間

川沿いは野の花時間梅雨の晴

一昨日、久しぶりに朝から晴れたので、娘に誘われて市川の江戸川土手を散歩しました。
この写真は、知らない間に、もう一台の超望遠レンズを付けたカメラで、離れた所から娘が撮影したものです。さっき、写真を整理していて発見。ちょっと苦しそうな体勢で、鼻の穴を広げているところがおかしいので、はじめて、ネットに自分の顔のアップをさらしてみました。

この江戸川土手は、野草が豊富なので、たまに野草を探しにくるのですが、この日は、川縁のノイバラとキショウブはすでに終わっていて、クサフジが終わりかけ。土手の斜面には、シロツメクサに交じって、トキワハゼやニワゼキショウ、マンネングサなどが咲いていました(まさに写真を撮ろうとしている右の黄色い花は、マルバマンネングサ)。
北総線の鉄橋の辺まで来たときに雨がぽつぽつと落ちてきたので、バスで帰ろうと思って、川から離れたところ、雨はすぐに上がったので、北原白秋の紫煙草舎がある里見公園を通って、通ったこともない道を歩いて帰ったのです。
これが、ラッキーでした。
途中、一度見てみたいと思っていた八重咲きのドクダミと、さらに珍しいキキョウソウまで見つけてしまいました。
キキョウソウを見るのは二度目ですが、八重咲きのドクダミ(ヤエドクダミ)に出会うのは初めてです。
本では知っていて、一度は出会ってみたいものだと、ドクダミを見るたび念入りに探してみるのですが、これまで一度も出会ったことがないのです。
それが、偶然、雨が降ってきたために、そして雨が上がったために通った道に咲いているなんて、奇跡です。
今年一番の大収穫!これだけで大満足です。
ヤエドクダミは、道沿いの農家の生け垣の下に、キキョウソウは、畑の縁の草むらに咲いていました。

ヤエドクダミ キキョウソウ
▲左はウエディングドレスのようでゴージャスなヤエドクダミ、右は可憐なキキョウソウ。



ドクダミ

ドクダミ

どくだみや道遠ければひと休み

じめじめと鬱陶しい日が続きます。
4月までは、木彫に明け暮れた毎日でしたが、手の調子も悪いので、この辺で一休み。このところ、毎日、野の花の写真の整理をしていました。 
このドクダミの写真は、数年前、故郷に行ったついでに、墓参りをした時の写真、田んぼの用水路の横にポツンと咲いていたドクダミです。
墓地は、田んぼの中にあって、昔は細いあぜ道を歩いて行ったものですが、今は道も舗装され。広くなって、車であっという間に着いてしまいます。
道の途中や墓地の周りには、ドクダミがたくさん咲いていて、独特の匂いが漂っていました。
この匂いを悪臭と言う人もいますが、私はきらいではありません。
どこか薬の匂いがして、父や母や、子供のころを思い出させる匂いです。
つい懐かしくなって、久しぶりに俳句を作る気分になりました。

なお、「野の花図鑑」も、レイアウトを少し変えて、少しずつですが更新しています。
よろしければご覧ください。



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