<< 代官山・旧朝倉邸-1/庭 | main | 代官山・旧朝倉邸-3/欄間絵 >>

代官山・旧朝倉邸-2/河童

河童の浮彫アップ

ふと秋思知る人もなき河童かな

これは何だろうか。座敷か寝室か定かではないが、その床の間の板戸に彫られたいるものだ。私は河童と見たのだが、どうだろうか。
元々は金泥で塗られていたようだ。目や眉、口などの周り、板戸の桟などに金泥が残っている。右の戸の右下に○○作とサインがあるのだが、達筆すぎて読めない。おそらく名のある作家によるものだろう。
河童だと断定できないのは、頭のお皿や目の感じが、いわゆる河童とは少し異なっている。頭だけで体が全く見えないのも不自然だ。また、横に伸びた棒のようなものは何だろうか。河童が棒でつつかれて流されているようにも見える。

河童の浮彫
▲河童の浮彫全体。右下にサインが見える。

部屋の隅の暗い所にあるので、肉眼ではよく見えない。ストロボも禁止なので、カメラのISO感度を目いっぱいに上げて撮影したところ、やっと細部までわかり、河童だろうと判定した。
まず目につくのは目。金泥で縁どられているように見えるため、異様だ。ふと、天才バカボンに出てくるおまわりさんの目を連想した。しかし、全体としてみれば、作者は誰であれ、この鑿痕の美しさから見ても、いいものであることは間違いない。

もし、この部屋が寝室だとすると、ちょっと不気味で、夜中に目が覚めたりすると声を出してしまいそうだが、昔の人は、襖に竜や虎などを描いたりするので、あまり気にしないのかもしれない。

秋深し河童と暮らす昔人

河童といえば、昔から伝承として語り伝えられ、絵にも描かれてきた。神社などもあったりして、どちらかといえば多くの人々に親しまれてきた妖怪だ。河童はキツネやタヌキと同じようなものなのだ。河童と暮らしていてもおかしくない。
「秋深し」がとってつけたようで唐突。また、「昔人」というのはどうか。状況にひきずられ過ぎている感じがする。写真がなければわからないし、かといって、写真を見てしまうと、その写真の説明になってしまっている感じ、とでもいえばいいだろうか。

秋思ふと水中眼鏡の河童かな

この写真を見ていて、ふと、河童が金縁の水中眼鏡をしているのではないかと思った。実は河童は宇宙人で、宇宙服を着ているのかもしれない。水中眼鏡の河童というのは、意表をついて何となくおかしいが、どこまで、そのナンセンスなおかしさが伝わるか。写真がなければ通用しないおかしさでもある。そういえば奇抜な眼鏡をかけた有名な落語家の顔に見えてきた。

ふと秋思無名の河童眺めつつ

江戸時代の浮世絵や芥川龍之介の小説、最近では清水昆の漫画など、世の中には有名な河童も多い。だが、この河童はどうか。おそらく見たことがある人は、非常に少ないのではないかと思われる。そうした意味では無名だ。無名でありながらどこか存在感がある。「おまえもなかなかいい奴なのに、無名とはかわいそうに」といった感慨。なのだが、「眺めつつ」はどこか変だ。焦点が「河童」ではなく「秋思」に当たっている。しかも、この場合、思っているのは河童のことではないことになってしまう。ぼやけてしまったということだ。

ふと秋思知る人もなき河童かな

これでどうだろう。「ふと秋思」が唐突かもしれない。「ふと」を使いたいので、なかなか捨てきれない。中七も陳腐かもしれない。




コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
トラックバック
calendar
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930    
<< April 2019 >>
selected entries
categories
archives
recent comment
                
links
profile
search this site.
others