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南伊豆の正月/4-河津七滝巡り(2)

河津七滝最後の釜滝

一歩またよろよろ終の冬の滝

初景滝からさらに川沿いに遡ると、下流から五番目の滝「蛇滝」がある。蛇の鱗のような岩の間をくねくねと流れてきて、最後に小さな滝になっている。説明を聞くまでもなく、これが蛇滝だとすぐにわかる。そこからまたしばらく行くと、谷を高巻くようにして、目の前に胸を突くような急な石段。石段の先は、はるか上の方で曲がって木の陰に隠れ見えない。ここまで来るだけでもかなり苦しく膝ががくがくなのに、この石段はとても登れそうにない。
あきらめかけたとき、横に緩やかな石段があり、案内板もあって、そこからでも行けると書いてある。六番目の海老滝と最後の釜滝を一周できるようになっているらしい。子ども二人はさっさとその緩やかな石段を登って行ってしまい、妻も私を連れていこうとするのだが、私はと言えば、もう疲れてしまい、滝なんかどうでもよくなっている。それでもしぶしぶ妻についてゆるい石段を登っていくと吊り橋があり、そのすぐ下に海老滝があった。どこが海老滝なのか。どうも水が落ちる際に、岩にあたって白い横縞模様を描き出しているところを、海老のしっぽに見立てたもののようだ。
そこからが問題で、最後の釜滝に行くためには、またもや急な石段を登らなければならない。結局は、右から行こうが左から行こうが、急な石段を登らなければならなかったのだ。

蛇滝 海老滝
▲左:岩が大蛇の鱗のように見える蛇滝。右:海老と言われれば海老に見えなくもない海老滝。

後でわかったのだが、この釜滝は、昔は地獄谷とも呼ばれていた難所だったらしい。石段をよれよれになりながら登り切ると、目の前がぱっと開け、突然滝の音が響いてくる。その開けた視界の百か二百メートルほど先に、大きな滝がある。これまで見てきた滝の中では一番ワイルドな感じで、雰囲気がある滝だ。苦しみもがいた後には、こうした思いがけない喜びも、たまにはある。

一歩この影もあえぐや冬の滝

ときどき、背中から日を浴びて、自分の影を踏みしめ踏みしめ石段を登っていると、自分の影までもあえいでいるのがわかる。その様子を表現している。「影もあえぐ」というところがおもしろいかと思っていたのだが、意外につまらない。この句から、「影もあえぐ」ほどの道の険しさがあまり感じられないのはなぜだろうか。

一歩またあえぐや冬の滝の路

「一歩この」を、「一歩また」として、一歩一歩険しい道を登っていることを強調した。また、「影もあえぐや」が陳腐なので、ただ「あえぐや」とし、最後を「滝の路」として、わかりやすくしてみた。
昨日まではこれでいいと思っていて、さて、今日見直してみると、どうも説明的でつまらない。新しさもない。これでは句にしている意味がないように思えてきた。「冬の滝の路」ももたついて説明的だ。

一歩またよろよろ終の冬の滝

「あえぐ」がどうも古臭い感じを与えるので、「よろよろ」といかにも疲れた様子を強調し、「終の冬の滝」と、いろいろ見てきた中での最後の滝ですよ、というイメージを出した。
本当は「一歩またよろよろと行く終の滝」としたいところなのだが、これだと「滝」が夏の季語なので、夏の俳句になってしまい具合が悪い。「冬の」を入れざるを得なかったところが苦しいところだ。






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