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俳句について(6)季語を考える-2

雲海の紅葉山

雲の海紅葉の山を呑込みぬ

紅葉はなぜかいつも雨。
昨日も 天気予報では全国的に晴れのはずが、朝から曇りで、赤城山は薄い雲の中でした。
それでも、昼過ぎには、太陽こそ出ませんでしたが、もやが少し晴れ、なんとか素晴らしい紅葉を見ることができました。
これは、目の前の山が、下から上がってきた雲に、あっという間に呑み込まれたところです。

◆  ◆  ◆

「季語を考える」の続きです。

●季語認定の不思議

俳句でいう季語とは、その季節を表すと思われる言葉を定めたもので、大きく、春・夏・秋・冬・新年の五つに分かれ、その中でまた、時候・天文・地理・生活・行事・動物・植物というように分類されています。
それぞれの季節のそれぞれの項目に、きちんと決められた言葉があり、それを季語と呼んでいるのです。
その季語を決めたのは誰かと言うと、勉強不足ではっきりしないのですが、今はおそらく、現代俳句協会のようなところが決めているのかもしれません。
季語は連歌と呼ばれた昔からあったようで、連歌の発句に季節の挨拶として読み込むことが約束になっていたようです。
芭蕉のころにはすでに歳時記の様な季語集があって、季語はある程度まとめられていましたが、それは、当時の俳人すべてが共有する情報ではなく、いわば勝手に決めたといことのようです。
俳諧から分かれた川柳や、季節を重視したはずの短歌の世界では、芭蕉の頃には、すでに季語はあまり重視されていませんでしたが、俳句では、かなり重く見ていたようで、季語がなければ俳句ではないという風潮も、一部俳諧の宗匠の間にはあったようです。
ところが、正岡子規は、俳句に季語は必須ではない、ということを改めて言い始め、それに賛同するかのように、無季俳句が盛んと作られるようになりました。やっと短歌や川柳に追いついたというわけです。
ところが、昭和に入って、季語がうるさく言われるようになりました。高浜虚子が花鳥諷詠を言いだしたために、季語が入っていなければ俳句じゃない、などと言われるようになってしまったのです。まさに時代の逆戻りです。
無季の俳句があってもいいと言った正岡子規。季語がなければ俳句じゃない、と言った虚子。この二人は師弟の関係なのですから皮肉です。

虚子が俳句の世界に君臨するようになってから、季語は急激に増えたようで、時候・天文・地理・生活・行事・動物・植物というように体系づけて分類されたのも最近のようです。季語がどのように管理され、更新されるのかよく知りませんが、どこかで誰かが更新しているようです。
季語と言うと、昔の古い言葉と思われがちですが、「アノラック」「デリシャス」「ネクタリン」などといった外来語も季語として認められています。
言葉はどんどん変わっていき、特に外来の植物や動物も増えてきました。そうした新しい言葉を季語として認めてもらうためには、どうすればいいのでしょうか。
「万緑」という季語がありますが、これは中村草田男が「万緑の中や吾子の歯生え初むる」と詠んだのが始まりで、その後、「万緑」と言う言葉を多くの俳人が使い始めたために、季語として認められるようになった、というのは有名な話です。
ということは、誰か高名は俳人が使って、それをやはり少し高名な俳人が踏襲するということであれば、季語になりうるのかもしれません。
例えば、私の様な素人が、この時期盛んと飛んでいて、洗濯物などと一緒に家の中までも入り込んでくる「カメムシ」を俳句に詠んだとしても、それは季語としては認められません。
「カメムシ」という言葉は俳句歳時記には掲載されておらず、あえて言うとすれば「放屁蟲(へひりむし)」がそれに当たるようですが、俳人は、「放屁蟲」などと言う可哀そうな名前で詠まないで、せめて「亀虫」と詠んであげれば、「亀虫」が新しく季語に登録されるのでしょう。
 いずれにしても、季語がなければ俳句ではない、などと言いながら、その重要な季語は誰が決めるのか、と言ったことは、曖昧模糊としてすべて藪の中です。

いま、こんな些細なことから季語に入り込んでしまいましたが、私が言いたいのは、こんな季語の認定とか言ったことさえ曖昧な俳句の世界の不思議さというか、無神経さ、鈍感さ、非現実的な体質を明らかにしたい、ということです。
次回からは、俳句歳時記に掲載されている季語を取り上げながら、具体的に季語について考えて行きたいと思います。


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