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俳句について(6)季語を考える-3

白樺牧場の白樺

紅葉して白際立ちぬ白樺(しらかんば)

赤城山の白樺牧場です。
靄がかかっていて、あまりはっきりしない天気でしたが、紅葉は最高潮で、とくに白樺の紅葉は見事でした。
靄の中、超望遠を使って手持ちで撮っているので、写真がどこか寝ぼけています。

◆  ◆  ◆

季語を考える-3
(2011年10月21日)

●死語と季語

私は方言をいろいろ収集してまとめています。
そこでわかったことは、言葉と言うものは環境によってどんどん変わっていくものだということです。
昔であれば、もともといた土着民の言葉に、侵略者とか、戦に敗れた落人、交易によって入り込む商人、職人、遊郭などの言葉が次々と入ってきて、方言は時代とともに少しずつ変わっていきました。
また、江戸時代には大名の国替えなどがあって、権力者が他国から大勢の人を引連れてきたために、その地方一帯の言葉がまるごと変わってしまったり、ということはたびたびありました。
現代では、テレビの普及によって、方言はほとんど姿を消しつつあります。
言葉は変わっていくものです。方言がすたれて行くのを見るのは忍びないことですが、そういうものと諦めるよりありません。

昔から季節を表す詩的な言葉として受け継がれてきた季語も同じことです。
人々の暮らしが変わってしまって、今は死語になってしまったものが数多くあります。
そうした季語に愛着を感じるのはわかりますが、いつまでもそこにとどまっていては、俳句はどんどん時代に取り残されていきます。
いま手元に秋の歳時記があるので、そこをぱらぱら見て見ると、とくに「生活」の項目には、今となっては何のことかさえわからない言葉がいくつかあります。
例えば、「砧」。秋の夜に「砧」を打つ音がするなどと言うのは、非常に情緒があっていいのですが、いまどき「砧」などを知っている人はいないでしょう。
また「菊襲(きくがさね)」とか「紅葉衣(もみじごろも)」と言われても、言葉はきれいですが、何のことかわからない人がほとんどでしょう。
このような古い言葉は、昔の俳句を鑑賞する時には役に立ちますが、作る上ではほとんど使うことはない季語です。

こうした、死語となってしまった季語をどう扱うかは非常に難しい問題です。
俳句に季語を入れることが必須でなければ、別に問題はなく、歳時記は「俳句辞典」と言った位置づけにできるわけですが、季語が必須となると厄介になるわけです。
自分が使っている季節を表す言葉が、はたしてその季節の季語であるかどうかというのは非常に重要になるからです。
自分では季語のつもりで使った言葉が、歳時記に載っていない、ということもよくあることです。そんなときに、むりやり季語を入れようとして、俳句そのものを壊してしまうこともあります。
いま、季語と言うものがどれくらいあるものなのか、手元の講談社版日本大歳時記の「秋」を調べてみたら、約3500語です。春・夏・秋・冬・新年の五冊を合わせると、おそらく一万五、六千語くらいになるでしょう。
これだけの数の季語が認定されていながら、作る側にしてみれば少なく感じます。しかし、かといって、どんどん増やしてしまっては、すべてが季語と言ったことになってしまいそうです。

だらだら書いているといつまでも終わりそうにないので、ここで整理してみます。

●現在認定されている季語(歳時記に記載されている季語)には、すでに「死語」となってしまった言葉が多数含まれている

●死語となってしまった季語は、作る側にとっては意味がない。無理に使おうとすると陳腐な俳句が出来上がる

●それでは、死語となってしまった古い季語は、歳時記から削除すればいいかと言うと、それはできない。 古い季語を削除してしまうと、古い俳句を鑑賞できなくなる

考えてみれば(考えるまでもないのですが)、日本は南北に長いため、例えば、北海道と沖縄では全く季節感が違います。本州の日本海側と太平洋側をとっても、季節にはかなりの違いが見られます。
地域による季節感の違いを、一つの歳時記でくくってしまおうとすることにも問題があるようです。
また、都会では、野菜や果物などは一年中手に入ります。空調もしっかり効いていて、季節感をさほど感じなくなっています。そうした季節に対する感覚のずれも問題です。

生活の変化に伴う言葉の変化、地域による季節格差、季節感のずれなどに、現代俳句の季語はどう対応していくのでしょうか。
本当に、俳句に季語は必要なのでしょうか。季語の役割とは何なのでしょうか。
明日からは、そうしたことについて、思いつくままに書いていこうと思います。



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