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俳句について(6)季語を考える-5

覚満淵

赤城山あっけらかんと冬隣り

赤城山大沼のすぐ近くにある覚満淵(かくまんふち) という小さな湿原です。
大沼と高さもあまり変わらない(1350メートルほど)のに、シラカバ、ダケカンバ、クヌギ、ナナカマドなどが多く、紅葉もほとんど終りのようです。
赤城山は、日光や長野などの山と違い、大きな谷や入り組んだ山並みなどもないため、開けっ広げな感じで、紅葉も単純、どこかあっけらかんとしています。

◆  ◆  ◆

季語を考える-5
(2011年10月23日)

●季語のメリット

今、自分が書いてきたこの文章を読み返してみると、ずいぶん大雑把で乱暴で、季語に対して失礼なことを書いているようです。
私は、俳句に季語は必須だとは思っていませんが、季語を否定しているのではなく、むしろ、もっと季語をうまく使った方がいいと思っています。
私の座右の書は、講談社の「カラー図説・日本大歳時記全五巻」で、いつでもすぐ手の届くところに置いてあります。
俳句を作る時に参考にするということもありますが、むしろ、暇なときに手にとって、適当に開いたページを見る、といったことの方が多いのです。
歳時記には、日本の文化史を見るような楽しさがあります。特にこの「講談社の「カラー図説・日本大歳時記」は、ほとんどの季語について、カラー写真が添えられていて、動植物や風俗などの図鑑を見るような楽しさがあり、何度見ても飽きることがなく、新たな発見があります。

季語の中には、和歌の時代から多くの人に親しまれ、また、多くの人の思いがこもった季語があります。
例えば、「梅」「桜」「紅葉」などといった季語は、その代表的な例です。「梅」というだけで、梅の花が咲いている風景や、花の香りや、さまざまなエピソードや、文学、絵画、子供の頃の思い出など、何の説明もなくても、目の前にぱっと浮かんできます。
季語に触発される感性や思いは、日本人が共通して持っているものなのでしょう。
「桜」や「紅葉」にしても同じです。季語は、それだけ強烈なイメージを持っている言葉なのです。
字数が制限されている俳句にとって、これほど便利なものはありません。たった一言で、想像もできないほどの広く深い世界を表現できるのです。
何十何百という説明や修飾の言葉を並べるよりも、季語一言の方が、より分かってもらえる、ということだってあります。
句を鑑賞する人は、季語に自分の思いを託すことによって、深い鑑賞をすることもできるのです。

・季語のメリット1:季語には日本人が共有する感性が詰まっているので、その言葉を説明する必要がなく、文字数に制限のある俳句向き。

また、もうひとつ大きなメリットは、季語は呪文の様な魔法の言葉で、表現に行き詰った時の切り札になる、ということです。
季語はそれ自体で、強いイメージを持っていて、一つの世界を作る力があります。
それまで、今一つ力のなかった句が、季語を変えることで、生き生きとしてくることはよくあることです。
俳句を作る時に、まず季語を考えてから俳句を作る人がいます。句会などでも、まず季語が出されて、それに合わせた句を作ることが多いようです。
そうした時に、その季語を深く掘り下げるのではなく、まず、季語を上五に入れて、あとは七・五で、何か別の世界を取り合わせる、といったこともできるわけで、これほど便利なものはありません。
これは、邪道といえば邪道で、大概、俳句とも言えない俳句ができてしまうのですが、例えば、五・七まではできたけれども、後の五が思い浮かばない、とか、五・七で言いきってしまって、もう言うことはなくなった、と言ったときに、下五に適切な季語を置く、といったこともできるのです。
季語を置くことによって、句の世界が広がることは確かです。

・季語のメリット2:俳句を生き生きさせ、イメージの世界を広げる力がある。

季語には、句を作るうえでも、句を鑑賞するうえでもこうした大きなメリットがあるので、季語を使わない手はありません。
しかし、いいことばかりではありません。不用意に、または迂闊に季語を使ってしまうと、とんでもない落とし穴に落ちてしまうので注意が必要です。

季語のデメリットについては、また明日(続く)



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