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綿虫

綿虫

綿虫や逢う魔が時の帰り道

今日も、写真がないので、去年、故郷にいる高校時代の友達に頼んで撮ってもらった、とっておきの写真に句を付けてみました。

これは、私の故郷、鶴岡の羽黒橋からみた月山です。
私は、この月山の麓、この写真の左端の白い屋根が並んでいるあたりで、生まれ、18歳まで、ここで育ちました。
この川は、赤川という川で、月山から流れ出す、山形県で最上川の次に大きな川です。
子供の頃は、いつもこの川で遊んでいました。泳いだり、潜ったり、カニの罠を仕掛けたり、釣りをしたり、私の青春は、すべてこの川にあると言っても過言ではありません。

秋、米の脱穀も終わり、月山に初雪が降る頃になると、年に幾度も見ることができない素晴らしい光景に出合うことができます。
それが、この月山の残照です。
月山の正面に、庄内平野を挟んで、金峰山という小さな山があるのですが、夕日はその山の向こうに沈みます。
夕日が金峰山に隠れた後、その山の影が庄内平野を覆って、月山の中腹を過ぎ、雪が積もっているあたりまで差しかかると、山が突然輝きだすのです。
周りはもう薄暗いのに、月山の頂上付近だけが輝いています。
子供の頃、川で遊んだ帰りに、何度かこの素晴らしい光景を目撃し、未だに目に焼き付いています。
高校に入ってからも、学校の帰り、自転車通学だったので、自転車でこの橋を通るときに、ちょうどこのカメラ位置で月山の残照を幾度か目にしました。

これは、月山に雪が降り、ちょうど綿虫が飛ぶ頃でないと見ることができません。
太陽の沈む位置と山の影の関係、空気の澄み具合、雪の有無など、すべての条件がそろわないと、このようには輝かないのです。

故郷を離れて50年、もう私の家もなくなってしまいましたが、この風景が忘れられず、かといって、いつ見られるかわからない自然現象のために故郷へ帰ることもできないので、故郷にいるアマチュアカメランの友達に頼んで、大体の日時と場所、レンズの長さまで指定して撮ってもらったのです。

ところが、指定した日は天気が悪く、12月に入ってから撮ったようなので、雪が多すぎるのと、山の影があまりはっきりしていないところが不満と言えば不満ですが、まあ、イメージ通りの写真を撮ってもらうことができました。

この風景と綿虫は、切り離せません。このマジックタイムとでもいうか、たそがれ時の時間帯は、ふわふわと 白い綿虫がいつも飛んでいました。
その綿虫を追いかけながら、月山の残照の中を帰って行ったものです。

ちなみに、下は、この写真を撮ってもらう前に、私が学生時代に撮ったモノクロ写真を元に、イメージで描いた月山の残照と一昨年に付けた俳句です。

月山



コメント
こんばんわ。又お邪魔してしまいました。

またいいですねぇ。大きな写真で楽しみました。
下にあるのはお描きになった絵ですか?すごいなぁ。人家が消えて川面の白い水しぶきが月山の残照と見えない綿虫を引き立てています。素敵な青春回顧の句に痺れます。
そして今日の投稿句は少年の無邪気さが消えて、青年のかすかな憂いでしょうか。綿虫、逢う魔が時、月山の輝き、其の景色の中に立つ青年は何を思ったのでしょう。甘悲しい青春賛歌の写俳に拍手を置かせて下さい。
  • かずえ
  • 2011/11/02 11:47 PM
かずえさん

こんばんは。

私は月山に思い入れがあって、できれば月山の頂上で散骨してもらいたいと思っているほどです。
この写真は、私が書いた下の絵を友達に見せて、同じような構図にしたいと言ってお願いしたものです。
予想以上にうまく撮れていて、びっくりしました。大切な一枚です。
  • 無一
  • 2011/11/03 10:07 PM
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